AI、AIと巷ではAIが徐々に私たちの生活に入り込んできています。
実際に私の大学でも、AIに関する講義が始まりました!
今回は国立情報学研究所教授の新井紀子さんが書かれた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を紹介します。
この本を読むことで、AIの本当の正体とこれからの時代でAIが担う仕事とできない仕事の違いがわかるようになります。
AIは万能だ!と思っていませんか?本当のAIとは、私たちの思っているものとは違いました。
AI技術の発展によりSiriや将棋・囲碁AI、ロボアドバイザーなど様々な分野でAIと名の付くものを目にするようになりました。
そんなAIについて、何となく知っている気になっていましたが、この本を読むことで私たちが思っていたAIのイメージは間違いであることがわかりました。
本のデータ
著者:新井紀子
出版社:東洋経済新聞社
ページ数:287ページ
東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、”彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた!これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。
<東洋経済STOREより>
本の概要
1. 多くの人が考える“AI”は存在しない
最近のAIについての関心事として“シンギュラリティ”が挙げられます。
“シンギュラリティ”の日本語訳は非凡や特異性という意味ですが、AI分野では人間と同等の知能を持った「真の意味でのAI」が自分自身の力で自分よりも能力の高い新たな「真の意味でのAI」を作り出せるようになる点のことです。
ややこしいですね…笑
もっと簡単にいうと、今のAI技術では、AI自身は自分よりも能力の高いAIを作ることはできません。
しかし“シンギュラリティ”が起こると、AIは自身よりも能力の高いAIを作れるようになり、それを繰り返すことで、人間の能力を遥かに上回るAIが誕生するということです。
さて、それでは本当にこのようなことが起こるのでしょうか?
答えはNoです。
なぜなら、AIはコンピュータであり計算機です。
できることは、数学的な処理(論理的・確率的・統計的処理)です。
現在、私たちの営みの全てを数学的処理に落とし込むことはできていません。
そのため、数学的処理を行うAIに私たち人間と全く同じ脳内処理をできるようにはならないため、シンギュラリティが訪れることはありません。
詳しくは、AIの処理能力の限界について、様々な具体例がこの本には書かれております。
2. AIが代替する仕事は“ホワイトカラー”が担っている仕事
さて、人の能力を完全に上回ることはないと上に書きましたが、確実にAIが人間を上回っている能力はあります。
上にも書いた、数学的処理能力です。
これらの処理が自動でできるとなると、多くの仕事がAIに代替されてしまいます。
これが最近、何かと噂されている「AIに奪われる仕事」というやつですね。
では、数学的処理能力が使われている仕事とは何でしょうか?
それはホワイトカラーと呼ばれる事務職です。
事務職は商取引の書類の確認や与信審査など、ルールに従って数字を扱う仕事が多く、まさのコンピュータであるAIの得意分野です。
オックスフォード大学の研究チームが予測したAI化によって「10年から20年後に残る仕事、なくなる仕事」では、なくなる仕事の多くは事務系の仕事でした。
3. これからは“読解力”の時代
では反対にAIに代替されない仕事とは何でしょうか?
それは他者の困りごとに共感し、解決する仕事です。
何だそれは…と思いますよね😅
具体的には、どんな仕事なんだと言われてしまいそうですが、「他者の困りごとを聞いて解決する仕事」としか表現できません。
なぜなら、その見つけた困りごとやその解決方法を自分で考え、生み出す必要があるからです。
この“考えて、生み出す”というのがAIにはできないこととなります。
AIは人間の困り事を自分で発見する能力はありませんし、共感することもできません。さらには、自分なりの解決策を導くこともできません。
そのため、AIにはできない仕事となります。
では、こんな抽象的な仕事はどうすればできるようになるのか…そのための“読解力”です。
読解力により、他人の困りごとを把握できるようになります。
「困ったこと」を見つけ、ビジネスを始めるための土台として“読解力”が求められています。
上記の概要では、AIと仕事について書きましたが、本書のタイトルは「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」です。
本編では、東ロボ君という東京大学合格を目指すAIと現代の子供たちを比べることで、筆者は上記の概要を踏まえた未来への提言をしています。
本書を読んで、正しくAIを理解し、AIと上手く付き合える人材になりましょう!
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