皆様、こんにちは!くーです。
今日は、経済記者としてのキャリアを持つ高井浩章さんが書いた「おカネの教室」を読んだので紹介します。
この本は、筆者が自身のお子さんに楽しんでお金の勉強をしてもらうために書いていた家庭内小説を改稿したものです。
そのため、お金に関することが子供でも理解できるように書かれており、さらに楽しんで読めるように中学生らしい甘酸っぱい青春小説要素もあります。
青春小説×ファイナンスと言った、おもしろい組み合わせになっております!
要約
お金を手に入れる6つの方法を考えながら、神の見えざる手や信用創造などの金融経済の仕組みやリーマンショックが起こった理由、貧富の格差問題など様々なお金にまつわる事柄も深掘っていく内容でした。
※ネタバレを含むのでご注意下さい。
——————————————————————————————————-
お金を手に入れる6つの方法を以下に示します。
②もらう:「かせぐ」ほどは富を生まないこと、お金もうけには直接つながらないけど大事な仕事(社会福祉 etc…)、社会が支えるべき人(障害者 etc…)
③ぬすむ:誰かを犠牲にしてもうけること
④かりる:利子をつけてお金を貸してもらうこと
⑤ふやす:「かりる」の反対
⑥つくる:信用や信頼から、お金が世界を回るうちに創造されること(信用創造)
これら6つのお金の手に入れ方を大きくわけて3つのパートで紹介しています。
かせぐ・もらう・ぬすむの違いは?
ここで大事なポイントは世の中の役に立つかです。
本書では公園を利用する人で例えており、
「かせぐ」人…公園を来た時よりも美しくする人(世の中の役に立つ)
「もらう」人…自分のゴミは自分で片づける人(世の中の役に立たない)
「ぬすむ」人…公園を来た時よりも汚す人(どちらでもない)
となります。
要するに、世の中に対する影響が「プラス」か「マイナス」か「プラマイゼロ」かということですね。
また、これらの違いは職業では決まりません。
その職業の人が全員、世の中の役に立っているわけではなく中には悪いことをしている人もいるからです。
その一例として、リーマンショックと銀行家について書かれているので、気になる方はぜひ読んでみて下さい!
かりるとふやす
次の、「かりる」と「ふやす」は表裏一体と言えます。
AさんがBさんに100円を期日まで金利5%で借りたとします。
そうすると、Aさんは利息を払うことで100円を手に入れることができ、このお金を用いて返済額(105円)以上の価値を生みだす。
また、Bさんは100円を期日まで貸し出すことで100円が5円を生みだして戻ってきます。
これにより、両者は新たにお金を手に入れることができます。
しかし、ここで注意点があります。
それは借り手に利息を返せるだけの「かせぐ」ができることが必要ということです。
そのため、貸し手と借り手には「合理的で理性的な合意」が必要となります。
現在:お金が足りない
将来:利息をつけてお金を返せる・貸し手
現在:お金に余裕がある
将来:お金に利息がつくと嬉しい
そのため、借り手が返せないような融資をする高利貸しなどは「ぬすむ」になります。
作中でも“貸すも親切、貸さぬも親切”と、貸し手と借り手の両者が冷静な時に便利で役に立つ取引であると語られています。
最後の「つくる」
お金を「つくる」という夢のようなお金の手に入れ方ですね。
これは、みんなが
・お金には価値があると信じていること
・返済能力があると信頼してお金を貸していること
これにより、実際に流通している通貨量よりも多くの通貨が市場に生まれます。
本文中の例を参考にすると
↓
②A銀行がbさんに90万円を貸し出す
↓
③bさんがB銀行に90万円を預ける
↓
④B銀行がcさんに81万円を貸し出す
↓
⑤cさんがC銀行に81万円を預ける
↓
↓
↓※銀行で10%減るのは準備金(引き出しに対応するためのお金)
この例だと、最初にあったのは100万円ですが、預金額は100万円以上に膨らんでいます。
このネットワークによってお金が生み出される仕組みを信用創造と言います。
上にも書きましたが、信用創造はお金を返済してくれるという信頼によって成り立っているため、この信頼感が失われると〇〇ショックのような恐慌が起こります。
また、この信用・信頼はお金にも適用されており、お金でモノやサービスと交換できるという約束が成り立っているからこそお金足りえます。つまり…
ということです。
感想
小説としてもおもしろく、スラスラ読むことができました。
それにも関わらず、要所ではしっかりとした経済・お金に関する解説があり非常にためになる内容がありました。
ピケティ理論などの投資を勉強する上で、学んだ内容もありましたが神の見えざる手や信用創造といった投資を勉強しているだけでは聞かない経済の根本の部分も学べたことが個人的には良かった点です。
筆者が子供に読ませるために書いたと言っていたように、自分に子供ができたらぜひ読ませたい一冊だと思いました。
ただ、子供でも理解できるように簡略化しているため、複雑な問題も簡単に考えていたりします。
その点は注意しながら読む必要があると思いました。
それでは、失礼します。
コメント